2.労働基準法は何のために作られた法律か?
労働基準法は労働者と使用者の間の関係を規律する法律です。
労働者と使用者との間の関係のことを、労使関係と呼びます。
労働者も使用者も、政府や地方自治体などの公的な機関ではなく、私人です。
私人間の関係なら、民法が適用されるのが原則です。
民法には私的自治の原則がありますので、
当事者が合意したことであれば有効なものとして取り扱われます。
そのため、労使関係においては、
使用者は労働者との間でどんな内容の労働契約でも結ぶことができるため、
使用者は思いのままに労働者を働かせることが可能なはずです。
しかし、一般的に、労働者は使用者から支払われる賃金を生活の糧にしているため、
使用者は労働者よりも強い立場にあります。
ということは、
民法を適用すると労働者がひどい労働条件で働かされる可能性が高くなります。
例えば、時給500円で1日18時間労働、10年間は辞めることは許さないというものです。
このような事態を防止するために、民法の特別法として設けられたのが労働基準法です。
労働基準法第13条には、
「この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、
その部分については無効とする。
この場合において、無効となった部分は、この法律で定める基準による。」
と規定されており、
当事者間で合意したことでも無効になる場合があることが分かります。
結論としては、労働基準法は労働者の保護のために作られた法律といえます。
労働者の保護のために、
労働基準法が使用者の行動にどのような制限をかけているのかを学習することが、
労働基準法の学習における最重要事項と言えます
コメント