1.何故、労働法を学ばなくてはいけないのか?
社会保険労務士法の第1条において、次のように規定されています。
「この法律は、社会保険労務士の制度を定めて、 その業務の適正を図り、
もって労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与すると
ともに、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資することを目的とする。」
つまり、「労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施」が、
社労士に期待されている重要な役割の一つであることが分かります。
では、社会保険に関する法令の円滑な実施のために特に重要なものとはなんでしょうか。
それは、社会保険料です。
社会保険は、被保険者が社会保険料を納め、それを原資として、
いざというときに保険者が保険給付を行うという「社会保険方式」で運営されています。
つまり、社会保険料の納付が適切に行われないと、
社会保険の運営が立ち行かなくなります。
そして、社会保険料は労働者が個人で納めるものではなく、
使用者が納付義務を負っています。
すなわち、社会保険制度は使用者によって支えられているのです。
さらに、多くの社会保険制度において、
使用者が納める保険料のうちの半分は労働者が負担しており、
保険料のうち労働者の個人負担分は、使用者が毎月の給与から控除して預かっています。
つまり、間接的には、労働者も社会保険を支えているということになります。
このように、社会保険制度は、労働者と使用者の双方によって、
支えられていると言うことができます。
したがって、もし、労働者と使用者の関係が悪化すると、
社会保険料の適切な納付が難しくなり、
社会保険が円滑に実施されなくなる可能性があります。
そこで、社会保険の円滑な実施のためには、
労働者と使用者の関係を適切に保つ必要があります。
労働者と使用者の関係のことを労使関係と言いますが、
労使関係について定める法律のうち、最も重要な法律が労働基準法です。
まとめると、社会保険の円滑な実施のためには労使関係を良好に保つ必要があり、
労使関係について定めた法律のうち、最も重要な法律が労働基準法です。
社会保険労務士は、社会保険の円滑な実施というミッションを背負っている以上、
労働基準法について学ぶことが欠かすことが出来ません
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